
【旗の台/ラムバー】
蒲田にて前職ダーツ部の活動の後、終電で旗の台へ。駅から5分ほど、既に店じまいした商店街を歩いていくと、オレンジ色の看板が光を放っている。地下へ下りると暖色系の柔らかい間接照明に包まれた広い空間が現れ、しっくいの壁とウッディーな調度品がさらに暖かみを増している。カウンターの後ろにはあまり見たことのないボトルが並んでいるが、それもそのはずで、ここはラムの種類が豊富というめずらしいバー。
なんでも以前はテキーラの揃っているお店で働いており、自分で独立するにあたり今度はラムを揃えたバーにしたのだとか。
なぜラムにしたのか聞いたところ、ウオッカやジンはちょっと寒々しいイメージがあるので、楽しく飲める雰囲気のラムにしたとのこと。
まずは、あまり甘すぎないものをお願いし、いくつかボトルを出してもらう。香りを頼りに、その中から「Kaniche Rum Barbados」をチョイス。「プラムのような香り 滑らかな甘味と香りが広がる」というもの。
Barbadosは英国領から1966年に独立した中米の小さな島国。
ボトルの写真撮影も快諾してもらい、2杯目は「Cadenhead's Demerara 12y Lapbroaig cask」。その名の通りボトラーズ会社CadenheadがLapbroaigのカスクでフィニッシュさせたもの。上立香ではそれほどスモーキーさは感じないが、吟香は確かにLapbroaigそのもの。
Cadenheadといえばスコットランドにあるモルトのボトラーズ会社として有名だが、調べてみるとモルトやラム以外にもジンやコニャックも扱っている模様。
Cadenhead
産地はガイアナ共和国という南米北部の国で、オランダ領、イギリス領を経て1966年に独立。
3杯目は面白いものを、とお願いして「CSR」を出してもらう。お店のコメントは「味もそっけもない」と身も蓋もないものだけれど、呑んでみるとホワイトラム独特の鋭さがなく、むしろまろやかで若干甘みも感じる。クセがないのでとても呑みやすい。
産地はNicaraguaで1821年にスペインから独立。
続いて、つまみに頼んだスモークに合うものをお願いする。スモークの香りを消さないように、あまりクセの強くないものということで「Montecristo 12y」を。これは丁度よい甘さでなかなか呑みやすく、いくらでも飲めてしまいそうな感じ。
産地はGUATEMALA。1821年にスペインより独立。
そこから後は、メニューに書いてあるお店のコメントを頼りに2杯ほど注文。
「Cap Savanna」ともう一つは何だったか。一つ写真を取り忘れたので記憶が定かでないけれど、おそらく「Clement Vieux」か「Riviere Du Mat Traditionnel Vieux」だった様な気がする。
飲み方は店員と相談してどれもショットで頂いた。それ程刺激が強くなく、またモルトのような複雑な香りもないので、ストレートでも全く問題なかった。
ラムというのは国によってスペルが異なるという話を聞いたことがあるが、確かにボトルによって異なる。
これはこの地域ならではの複雑な歴史背景に起因しており、かつての宗主国にしたがって、英語圏はRUM、スペイン語圏はRON、フランス語圏はRHUM、ポルトガル語圏はROMと書くのだとか。
その語源には諸説あるが、初めて強いお酒を口にした島民がみな興奮(rumbullion)した所から来ているとか、サトウキビのラテン語名saccharumから来ているなどと言われている。
実はこのお酒の歴史は意外と浅い。15世紀にコロンブスが新大陸を発見し、サトウキビが西インド諸島に伝わったところから始まり、その後、英国移民が砂糖を製造した後の廃糖蜜から作りだしたそうだ。
歴史が浅いとはいえ、その背景を見ていくと陽気なイメージとは裏腹に、多くの黒人奴隷が連れて来られた三角貿易など、暗く凄惨な過去に突き当たる。
ちなみに、こちらのお店の歴史は2年ほどだけれど、終電後の時間でも頻繁にお客さんが入って来ていてる。
みな地元の方だろうか。
気が付けばとっくに始発が走っている時間。
地上へ出て、きれいな朝焼けのもと家路につく。
ラムも、おもしろい
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ウずマキ (ダイニングバー / 旗の台駅、荏原町駅、荏原中延駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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