
【祐天寺/鴨料理】
肉の中で何が好きかと問われたら何と答えるだろう。順位を決めるのは難しいけれど、ラムと鴨は自分の中でかなりの上位に食い込むことは間違いない。
ということで、祐天寺にある鴨料理のお店へ。住宅街を抜けると駐車場の脇に掘っ建て小屋のような建物が現れる。「分校」という店名がよく似合う外観だ。看板も出ておらず、おそるおそる中へ入ると暖色系の暖かい明かりに包まれた落ち着いた雰囲気となり、外観とのギャップが面白い。
扱っているのは本鴨との事だけれど、どんな鴨なのかはよく分からない。合鴨でも真鴨でも無いことは確からしい。食べてみると野鴨ほど野趣味は感じられない。かといって合鴨ともやはり異なる風味と食感。
通されたのはカウンター席で、まずは箸置きとドリンクのコースターに描かれている鴨のイラストが出迎えてくれる。我々が口開けの客で、暫く貸し切り状態だったが30分もすると店は満杯状態に。
コースが幾つか用意されていたけれど、当然のようにアラカルトでの注文。
前菜はバーニャカウダー。アイスプラントという珍しい野菜が盛られている。周りに海葡萄のような水泡が付いておりプチプチとした食感が面白い。
続いて生湯葉の造りを出汁醤油と山葵で。ほっとする優しい味わいで、これから続く肉に向けて胃を整える。
鴨の一皿目は鴨焼売。味が付いているので辛子を乗せて。粗めの挽肉で口の中に入れると思ったより強めの弾力が出迎えてくれる。噛むほどに肉の味わいを感じられる。
二皿目のつみれ煮は葱とインゲンと一緒に。薄味の出汁で、花山椒を自分で磨り潰し、まぶして食べる。焼売とは対照的にサッパリと味わえる。
そして、たたきとどちらを注文するか迷った末のロースト。山葵に濃い甘めの醤油で鴨の旨味をそのまま味わえる一皿。鴨独特の風味がそれ程強くないので、鴨が苦手な人でも美味しく頂けそうな味。一切れずつゆっくりと食べながらここで一休み。
コンフィは肉がほろりと剥がれる。塩胡椒の加減も良く、これは出色の出来だ。
海老芋のけしの実揚げは外側の食感と中身の食感がよい。
最後に鴨しゃぶを。鴨葱とどちらにするか迷ったが、鴨の風味がそれ程強くないため濃いめの出汁では肉が負けてしまいそうなので、しゃぶしゃぶを。鴨は包丁で叩いているので柔らかくなっている。不思議なことにローストよりもこちらの方が鴨の旨味をよく感じられた。ざくは牛蒡と葱のみ。具材が無くなると稲庭のような細い饂飩を入れて締め。
量も少なめで色々な料理が楽しめた。
癖のない鴨も悪くないけれど、やはりジビエで真鴨を食べたくなった。
そろそろ冬も終わり。今シーズン、他に食べ忘れているものはないか春が来る前にもう一度確認しよう。
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鴨丸 祐天寺分校 KUSA KUSA (鳥料理 / 祐天寺駅、中目黒駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.0
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