【和食/西麻布】
連日のワイン続きだったので、少し体の負担を和らげようと和食系のお店へ。場所は西麻布ルーマニア大使館の斜向かいに位置する。入り口は正当派の和食店だが、中に入るとカウンターの後ろにボックス席が配置されている。暖色系の灯りの中、JAZZが流れていて落ち着けそうな雰囲気だ。
最初はビールを飲みながらメニューを眺める。突き出しは南蛮漬けでちょっと意表を突かれるが、酸味が良く効いており食欲がそそられる。まずは刺身を天然鯛と平目、雲丹を盛り合わせにしてもらう。併せてささみと三つ葉の山葵和え、新筍、菜の花、こんにゃくのおかか合え、それに馬刺しも注文。刺身が来る前に日本酒も注文しておく。あまり惹かれる銘柄はなかったのがやや残念。
刺身にはポン酢と醤油が出されたが、お願いして酢味噌も出していただく。肉厚に切ってある平目は酢味噌で食べるのもお勧めなので是非とも試してほしい。
筍はこの季節だと静岡産だとか。今年も春が終わる前に中々美味しい筍にありつけた。筍というと合馬産や山城産が取り上げられることが多いが、他の産地でも美味しいものはある。
馬刺しは赤身で出されたが、できればたてがみと一緒に食べたいところ。最初は三元豚のレバ刺しを注文したのだが、生憎この日は入っていなかったので急きょ代わりに注文したメニューだ。1杯目の日本酒が馬刺しに合わなかったので、2杯目は馬刺しに合いそうな日本酒を店に選んでもらう。吟醸香があまり高くなく、酸味やアミノ酸が程よく効いたものが出された。
続いての注文は、京揚げのグリエールチーズ焼き、出汁巻き玉子、仏産合鴨と長葱。どれも美味しいが特に鴨肉は非常にしっとりしている。鴨の種類を聞いてみるとバルバリー種。エトゥフェしたシャラン種と異なり風味も程よく日本人好みの鴨だ。ただ鶏肉はエイジングできないはずなので、本当なら締めたての新鮮なものを食べたいところ。
このあたりで焼酎に移行し、久しぶりに森以蔵を飲む。日本酒は国税局の品評会が減点方式を採用しているので、雑味やクセのないものが高評価となる傾向があるが、森伊蔵を飲むと焼酎の人気も同じ様な傾向があるように感じる。
そろそろ〆の土鍋炊き込みご飯を注文。時間が掛かると思い最初に葱味噌椎茸の焼き物を出してもらい、その後に新筍と木の芽の土鍋ご飯を真子鰈の煮付けと一緒に出して貰った。筍と木の芽の相性を発見した人に感謝。筍は古事記に登場し、山椒は縄文式土器に付着していたというからどちらも日本人にとって長い歴史を持つ貴重な食べ物だ。その内、日本の香辛料の歴史も調べてみたい。
ご飯は前評判通り美味しい。水分が多めなのだけれどべちゃっとしていない絶妙な炊き加減。
店名の“ゆかし”とは、見たい、知りたい、行きたいという意味の古語に由来したもので、お客さまに、『また行きたい』『また食べたい』と言ってもらえる店にしたいと名付けられたものらしいが、確かにまた再訪したいと思うお店だ。魚の豊富な冬の時期にコースを注文してもおもしろいかもしれない。
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西麻布ゆかし (割烹・小料理 / 広尾駅、六本木駅、乃木坂駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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